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 ■市長室

施政方針・所信表明

所信表明

平成20年11月25日

 

(はじめに)

私、平成20年10月5日に告示されました湖南市長選挙において、無投票というかたちで市民の皆さんの厳粛な信託を受けまして、2期目となります湖南市長職をお預かりすることとなりました。民主政治の基盤となる選挙を経て、極めて厳しい時代における湖南市の舵取りという重責を再び担うこととなり、誠に身の引き締まる思いでありますが、新しい分権型社会を迎えた自治体経営は、ひとり市長が左右するものではないと考えております。市役所においては職員が、また市政全般にわたっては議員の皆さんをはじめとする市民の皆さん一人ひとりが、個別の利益を求めるのではなく、社会全体をよりよくするためにじっくり考え、しっかり判断し、きっちり動くことが大切でありますことから、この所信表明の場をお借りして、議員の皆さんをはじめすべての市民の皆さんに市政運営に関するご協力をお願いするものであります。

 

 

(時代潮流)

世界経済は大きく変動しております。今年1月26日、ダボス会議において特別講演をした当時の福田内閣総理大臣は、バブル崩壊以降長い停滞状態にあった日本経済が、思い切った改革断行により財政出動に頼らず長期の緩やかで着実な成長を続けていると胸を張るとともに、主要な金融機関は健全な財務基盤に立っており資金供給は円滑であると世界に発信したことから、わが国経済は足腰が強いものと考えられてまいりましたが、リーマンショックの前にもろくも膝を崩しました。10月25日、アジア欧州会議首脳会合出席のため北京を訪れた麻生内閣総理大臣が、現在の世界経済情勢について「百年に一度の国際的な経済危機だ」と指摘せざるを得なかったように、世界経済は、極めて厳しい冬の時代に突入しようとしております。

 

一方で、アメリカ合衆国の大統領選挙は、黒人初の大統領としてバラク・オバマ氏を次期大統領に選出しました。アメリカをチェンジしたいと思うアメリカ国民は、Yes,we can!との訴えとともに、アメリカがイラク戦争から勇気ある撤退をすることを支持しました。反面、新政権が手厚い社会保障を展開すれば大量の赤字国債増発につながるおそれがあり、その先には、アメリカ国債購入というかたちでのわが国経済の負担増につながりかねない状況も予想されるようになってまいりました。

 

こうしたなか、急速な円高や原油高騰の沈静化などの国際環境の変化を背景に、外需主導のわが国経済がどのような進み方をするかは不透明ですが、人口減少社会、少子高齢社会、成熟社会を迎えつつある今、「地域」をもう一度振り返る必要があり、そのための節度ある規制改革と分権改革が求められていると申せます。

 

国の政策判断は大きなぶれを幾度も見せております。そして、そのたびに地方は疲弊の様相を強めつつあります。地方自治は国政進展の基礎であり、国民の福祉にとっても、また極めて重要なところでありますが、大規模な財政出動と容赦ない緊縮削減、さらなる財政出動と、まるでダイエットとリバウンドを何度も繰り返すようであり、その都度地方の体力は明らかに落ちていっています。しかも、現場での資金はショートし、マンパワーは確実に不足がちとなっております。

 

 

(財政を取り巻く情勢)

湖南市の財政状況は、合併による基盤強化が実現し、新市建設事業が展開されることによりまちづくりが進展している一方で、いわゆる国の「三位一体の改革」や滋賀県の財政構造改革に伴う影響で、年々厳しさを増していることは間違いありません。地方交付税額は、新市発足直後である平成16年度の15億4,700万円から、平成18年度には10億8,100万円、そして平成20年度の見込額は7億6千万円と劇的に削減されてきておりますし、平成16年度に国庫負担金から削減された約1億6千万円の公立保育所運営負担金は、毎年の一般財源持ち出しとしてボディブローのように財政的体力を奪いつつあります。また、市の発足により生活保護や児童扶養手当に伴う経費が大幅に増加したのに加え、平成18年度には児童手当と児童扶養手当の負担増分が毎年約1億円を数えるようになりました。

 

総じて歳入は減少し、社会保障関係費や人件費、公債費をはじめとする歳出が経常的に増加している傾向が見て取れ、財政の硬直が一層進んでいることから、その健全化は喫緊の課題であります。すなわち、投資的事業に振り分ける財政資源が枯渇している状況であり、わずかに合併特例債をはじめとする合併関連事業により、まちづくりの骨格となる道路整備をはじめとする将来世代と共有する公共投資を行っている現状にあることは、皆さんもすでにご理解いただいていることであります。地域のユニバーサル化や耐震・安全化などを進めようとすれば、公共投資が不可欠となります。また、歳入を増やすためだけではなく、雇用を確保するためにも健全な企業活動が求められます。一方で、民生安定のための取り組みも求められ、全体を見渡したバランスある議論が必要とされております。

 

こうした厳しい状況を脱却するためには、まちに活力をもたらさなければなりません。そのためには、民間の力を高める必要がありますが、資本は基本的に臆病なものであるために、民間資本の集積には政治的安定は第一条件でありまして、この度の市長選挙、市議会議員補欠選挙の結果は、湖南市が市発足以来安定を取り戻しつつある証左であることを喜んでおります。安定を望んだ市民の皆さんとともに、まちの将来を見据えて、引き続き基盤をしっかりと築き、その上にまちづくりを開花させていくことが、市政を預かるものの責務であると確信しております。

 

 

(地域の市民がまちづくりの主役)

戦後長らくわが国は、国際社会における名誉ある地位を占めるために、社会の力を経済成長へ大きくシフトしてまいりました。その結果、身近な地域のまちづくりは、ひとり行政の担うところとなった感があります。しかし、本来、地方自治は市民の手にあるものであり、市民は地方自治に要望するだけの第三者ではなく、まさしくまちづくりの主役、当事者であることは、論を待たないのであります。成熟社会、少子高齢社会、人口減少社会となった今こそ、地域の市民が主役となったまちづくりが求められるものであります。

 

湖南市においては、地域の自治活動が極めて活発です。この自治活動を一段進めて、地域のまちづくりを率先して担おうとする主体的な市民の皆さんと協働し、水平的な人と人とのつながりを広げながら新市の建設を進めてまいりたいと考えております。

 

 

(次代を視野に入れる)

また、地域の結びつきとしては、垂直的な人と人とのつながりも重要であります。地域の歴史と伝統に根ざした落ち着きあるまちづくりは、物理的にも精神的にも地域の安定をもたらします。また、先人の偉業を顕彰することとあわせて、次の世代を見据えることで、持続可能な発展を遂げるまちとしていかなければならないとも考えております。

 

刹那的に、すなわち今さえよければ、個別的な、すなわち自分さえよければというまちづくりを進めるのではなく、また、安易に次の世代と財政負担を分かち合えばよいというだけではなく、次代を支える有為の人材を暖かく包むとともにしっかりと自立できる人が育つ環境を整え、地域はもとより日本や世界に貢献できるようにしてまいらなければなりません。

 

こうしたまちづくりのヨコ糸とタテ糸を紡ぎあわせるように、総合計画を頂点としたしっかりとした計画に基づいた施策を展開し、安全で活動的なまちとしてまいりたいと考えております。

 

 

(スリムで活動的な市役所)

湖南市が誕生して早や4年。湖南市の前身であった旧石部町は、百年の歴史を刻んできましたが、市となって規模が拡大されたことで、引き継いだ旧来の慣行の見直しや事務の適正化が必要とされる場面が目立ってまいりました。もう一つの前身であった旧甲西町は、行政ルールの逸脱や基金枯渇、住民不和などの課題を抱えながら、未だ再建途上にあったまま、新市誕生を迎えました。合併による新市建設という未来に拡がる分野とは異なり、重複整理や旧慣是正など、市民全体の利益を考えたなかでの大胆な取り組みも、経済悪化や国、県の財政逼迫から喫緊の課題として求められます。過去の成功体験にしがみつくのではなく、将来を見据えたスリムで瞬発力のある市役所に変えていかなければなりません。そのため、高い品質の意思決定を行える体制を構築し、市民の皆さんの役に立つ組織としていきたいと考えております。

 

 

(節度あるたおやかなまちづくり)

これからの湖南市は、世界永遠の平和を念願する日本国憲法の理想を心とし、民主主義に基づく文化国家建設の目的に向かって、市民憲章の各項に表されたまちづくりをさらに進めていかなければなりません。

 

民主市政には市民の総参加が求められます。しかもそれは責任を伴った参加です。発言を通じて参加する者は、発言内容にしっかりと責任を持つことは当然ですが、その結果に対しても責任を負わなければなりません。公共をどのように支えていくかは、今や市民一人ひとりの肩に掛かっていると申せます。自分の利益だけをめざし要望と要求をするだけではなく、広い視野のもと市民全体の利益をめざす提案型の市民の市政参加を期待いたします。さりげなく支え合い、助け合える凛としたまちとしていきたいと思います。

 

先の市長選挙に示された民意をしっかりと受け止め、市民の皆さんと一緒になった新しい湖南市づくりを、極めて厳しい社会経済財政環境のなかではありますが、明るく強く正しい心を持って進めてまいるための決意の一端を申し述べ、所信とさせていただきます。

 

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