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 ■市長室

施政方針・所信表明

平成28年度施政方針

(はじめに)

本日ここに、平成28年度の湖南市の予算および諸議案をご審議いただくにあたり、議長のお許しを得まして、私の市政に対する運営方針の一端を申し述べ、議員各位ならびに市民のみなさんのご理解とご協力を賜りたいと存じます。

(混沌とする世界情勢)

 昨年11月13日にパリで引き起こされた同時多発テロでは、死者130名、負傷者300名以上を出す惨事となりました。フランスでは非常事態が宣言されるとともに、ISILが犯行声明を出しました。15、16両日に開催されたG20では「テロとの戦いに関するG20声明」が採択される一方、とりわけロシアによるシリア空爆が強化され、内戦激化とあわせて国内外に1100万人の難民を生み出しています。ISILはテロ攻撃を世界に拡散しておりますし、トルコによるロシア軍機撃墜で両国関係は悪化しており、シリア停戦が実現するかどうかに注目が集まっています。ウクライナではロシアがクリミア半島を武力で自国に編入して以降、東部の親ロ派武装勢力の支援を続けていますし、南シナ海では中国による南沙諸島での人工島造成や西沙諸島へのミサイル部隊展開などで軍事支配を強めていることにアメリカや東南アジア諸国は反発しています。東シナ海での尖閣諸島に対する中国の圧力は続いていますが、2月7日に北朝鮮がミサイル発射実験を行ったことで、1月6日の地下核実験とあわせて東アジア情勢も安定を欠いていることが改めて認識させられました。中央アフリカにおける内戦も激化しており、世界は再び戦争の時代に入ったのではないかという指摘もされるまでになりました。今後は左右の極端な主張が台頭する可能性を含んだアメリカ大統領選挙に注目が必要とされます。

(世界経済と一進一退するアベノミクス)

そうした不安定な国際情勢に加えて、中国やブラジルなど新興国の経済が悪化する一方、ロシアも深刻な経済後退に晒されており、世界経済は混迷を深めています。日本経済では、これまで大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を三本の矢としてきたアベノミクスが「第2ステージに入った」として、首相は昨年9月24日に希望を生み出す強い経済、夢を紡ぐ子育て支援、安心につながる社会保障のいわゆる新三本の矢を新たに打ち出しました。同時に一億総活躍プランも示されましたが、原油安や新興国の先行き不透明感などで金融市場が不安定化し、デフレ脱却シナリオの見通しが揺らぎつつあるなか、日本銀行はさらなる異次元の金融緩和として2月16日からマイナス金利政策を開始しました。日銀総裁はこの効果は実体経済や物価面に現れるとし、財務大臣も経済の拡大にプラスになる効果を期待しているとしており、現在のところ金利全般は低下していますが、マイナス金利決定以降、大幅な円高株安に振れており、昨年10−12月期のGDPがマイナスとなったこととあわせて、先行きに懸念が高まっています。とりわけ、金融緩和に日銀が動いた後に円高に振れていることから、市場による期待が薄まっています。4年前に1バレル=100ドルを付けていた原油価格はいまや30ドルを割り込むところまで下落していますが、アメリカのシェール革命や産油諸国の思惑による原油安も、ここにきて産油国による増産凍結合意が模索されつつあり、その先行きが注目されます。

(地方創生と一億総活躍への期待)

 1月22日に第190回国会で行われた首相の施政方針演説では、地方創生と一億総活躍が主テーマとされています。地方創生に関しては、大きなチャンスであるTPPを「国家百年の計」として自由経済圏の拡大と経済統合を進めること、「攻めの農政」の下で農林水産業の付加価値を高めること、中小企業の競争力を強化すること、地方創生総合戦略を地方創生交付金で支援すること、企業版ふるさと納税をスタートさせること、「観光立国」を掲げて外国人観光客の旺盛な消費を地方創生につなげることなどが述べられています。一億総活躍に関しては、多様な働き方が可能な社会への変革とワーク・ライフ・バランスを確保し、「介護離職ゼロ」の目標を掲げて高齢者も働きやすい「生涯現役社会」を現実のものとし、「希望出生率1.8」の実現を目指すこととしています。そして、それには経済成長が必要であり、大胆なイノベーションがその成否を握るとしました。

(湖南市の将来を展望する)

 昨年12月、市議会において「第二次湖南市総合計画」を議決いただきました。総合計画では、昨年10月に策定した「湖南市人口ビジョン」で分析した人口の将来予測に基づき、基本構想の6つの目標に沿って施策を組み立てた基本計画を策定し、そのうち今後の人口減少に備えて優先的に取り組むためのプランとして「湖南市きらめき・ときめき・元気創生総合戦略」を位置づけています。人口減少社会に地域経済の活力を創出し、循環させることで、地域福祉を安定させていくために、総合計画と総合戦略を一体として推進していくこととなりますが、その一方で忘れてはならないのは行政改革です。持続可能な財政運営を目指し、最小の費用で最大の効果を発揮するという地方自治法の原則に立ち返りながら、健全な自治・民主政に基づいて、行政のあり方を見直していく必要があります。総論賛成各論反対はありえないという湖南市行政改革懇話会の提言にもあったように、特に将来世代に大きなツケを送ることになる公共施設については総合管理計画を策定して確かなものとして運営していかなければなりません。

(市民活躍!元気なまちづくりへ戦略の第一手)

 こうした現状と課題を踏まえたうえで、平成28年度当初予算の編成に当たっては、「市民活躍!元気なまちづくりへ戦略の第一手 〜人口減少社会を見据えた基盤強化と市民協働の推進に向けて〜」を基本テーマに、第二次総合計画の初年度として、市民との協働による活力ある湖南市を目指し、市民の安全と暮らしを支え、ともにまちづくりを高めるための施策を盛り込みました。とりわけ、地方消費税増収分について社会保障政策に充てるとともに、総合戦略の目標である地域で支えあう子育て環境、暮らしやすい住居環境の実現、地域経済の活性化といった地域の活力の創生に必要な経費についても別枠予算化したところです。過去からの懸案事項でありました石部小学校全面改築や三雲駅周辺整備事業が進むなかで、並行して新たに甲西中学校の耐震改築や中学校の空調整備を行うことなど投資的事業が重なったこともあり、予算規模としては過去最大となりました

実現を目指す第二次総合計画のまちづくりの6つの目標に沿って、その初年度である平成28年度施政の方針を説明いたします。

(人権尊重と自立・自助、共助のまちづくり)

 まずは、「みんなで共に進めるしくみをつくろう」ということです。人口減少社会において、行政だけが公のサービスを担うモデルは成立しにくくなってきています。また、市民ニーズは多様化複雑化しており、画一的なサービス提供で満足な地域社会を築くことには限界も感じられるようになってきました。

 地域におけるさりげない支え合いにより、身近なところで健全な自治が育つ環境を整えることで、市民の自主的なまちづくりが展開されるように知恵と力を合わせることが、これからのまちづくりの基盤となります。

 そうしたことから、地域福祉力の向上を図る心のインフラづくりや地域の潜在力を引き出しながら活動を展開する地域おこし協力隊の支援、新しい公共を支える地域まちづくり協議会の活動に対するきらめき湖南地域活性化推進事業などを引き続き進めるとともに、

寄付文化を根付かせながら地域特産品のPRを行い、湖南市への愛着を高めてもらうために昨年12月から本格的に参入したふるさときらめき湖南づくり寄付の拡大や婚活をはじめ移住定住を促進するための結婚新生活の支援など、新しい施策にも取り組んでまいります。

 一方、「湖南市男女共同参画アクション2007計画」の最終年度にあたることから新計画の策定に取り組みますとともに、地域間交流の推進や多文化共生のまちづくりを進め、電子行政サービスの充実と情報セキュリティの強化対策を行います。

(自然を生かし、自然と共生するまちづくり)

 次に、「うるおいのあるまちをつくろう」ということです。自然環境や景観を守り、次の世代に継承するために、市民一人ひとりの主体的な行動が求められています。また、地域内に存在する自然エネルギーを活用し、地域内循環のできる持続可能なまちづくりを進めていかなければなりません。

 そのため、引き続き湖南市の木でもある天然記念物ウツクシマツ自生地の保護や森林・田園空間の保全に取り組むとともに、市民が自然に親しむだけでなく、防災拠点ともなる田代が池公園を引き続き整備していきます。

 また、エネルギー・経済の循環による活性化の推進については、「湖南市地域自然エネルギー地域活性化戦略プラン」に基づき、スマートエネルギーシステム構想や分散型エネルギーインフラプロジェクトの検討を行っておりますが、新年度からは電力小売りの完全自由化を受けて、地域新電力会社を設立してまいります。

上下水道の整備については、下水道事業に地方公営企業法の適用を行うこととし、上水道とより連携しながら経営を進めてまいります。とりわけ長寿命化計画に沿って老朽化施設の更新を進めるとともに、包括的民間委託によりサービスの向上を図り、上水道については安全安定な水道水の供給に努めてまいります。

(産業が集まり、人が集うまちづくり)

 次に、「活気あるまちをつくろう」ということです。地方創生の基盤づくりは力強い経済の実現であり、それを支える社会資本の整備を着実に進めてまいります。

市街地・住環境の整備については、人口減少社会に備えるために3駅を中心とした市街地のコンパクト化とネットワーク化をにらみ、基礎調査に引き続き立地適正化計画の策定に取り組んでまいります。また、魅力ある住環境をつくり出すための住宅政策に関して、宮の森団地修繕や中山団地老朽化住宅解体など市営住宅の整備改修を進め、既存民間住宅借上型公営住宅制度を確立して民間活力を活用するとともに、空き家対策を推進するため協議会を設立し、空き家対策の取り組みを促進していきます。

道路網、河川の整備については、3月中旬に地域高規格道路甲賀湖南道路の栗東水口道路T湖南市石部・栗東市小野間が開通します。国道1号から栗東湖南インターチェンジを通じて、直接名神高速道路に乗り降りすることが可能となり、京阪神や新名神へのアクセスが格段に向上することになります。市内における大きな道路網整備については、これで一段落となりますが、引き続き甲西中央橋や中郡橋をはじめ老朽化した橋梁の改築や長寿命化対策、生活道路の整備にも取り組んで行く必要があります。荒川橋や丸保川橋の架け替えを行うとともに橋梁の定期点検を進めるほか、平松踏切の拡幅工事や吉永山手線、市道甲西駅美松線道路新設、市道三雲小学校線歩道整備、市道東浦線歩道新設など生活道路の質的向上に努めてまいります。

 公共交通の充実については、引き続き草津線複線化促進期成同盟会に参加して草津線の利用増加と利便性向上をめざすなかで、三雲駅周辺整備事業としての自由通路と三雲駅舎の改築を進めるとともに、石部駅周辺整備に関する調査を進めてまいります。

農林業の振興については、将来の担い手となる人材の確保・育成を図るため、新規就農者等の担い手の育成・確保に重点を置き、甲西南部地区ほ場整備事業をはじめ農地集積を進め、持続可能な農業の推進に取り組むとともに、市民産業交流促進施設の整備を行い、これを起爆剤として体験農園や農家レストラン、特産品の6次産業化までを視野に入れながら効果的な農業振興につなげてまいります。

地域経済の活性化と就業の場の確保については、税収の増加も目的としながら、産業団地と内陸型国際総合物流ターミナルの整備を進めるとともに、魅力的な企業の誘致に取り組んでまいります。観光振興に関しては、観光情報の発信や地域振興の拠点となる道の駅の整備を進め、観光客の滞留と観光消費の拡大につなげるとともに、湖南三山を中心とした観光客の誘致拡大に努めてまいります。

(生涯を通じた安心と健康のまちづくり)

次に「ほっとする暮らしをつくろう」ということです。地方創生の根幹でもあるひとを支えるシステムをしっかりと構築してまいります。

健康づくりの推進については、「健康こなん21計画・食育推進計画」の計画期末を迎えることから、第2次計画の策定に取り組んでまいります。また、引き続き各種健診や予防接種などとともに、特定不妊治療や医療用ウィッグ購入の助成などきめ細かい健康づくりの支援を行ってまいります。

医療の充実については、甲賀保健医療圏にありながら済生会滋賀県病院や滋賀医科大学属病院などを利用する市民も多いことも視野に入れながら、地域包括医療・ケアの確立に向けて公立甲賀病院を含めた病院機能と市内の公的4診療所、民間医療機関、訪問看護ステーションなどの適切な役割分担と機能の相互連携を進めてまいります。

子育て支援の充実については、「湖南市子ども・子育て支援事業計画」の2年目でありますが、妊活の支援をはじめ、平松保育園と菩提寺保育園・幼稚園の認定こども園化を行いますとともに、下田保育園と学校法人光星学園水戸・ひかり幼稚園の認定こども園化の準備、小規模保育事業所の公募、学童保育所の学校施設への移転準備、病児保育事業整備に向けた環境整備など、平成29年度からの事業展開に向けた準備に取り組んでまいります。

障がい者の自立支援の充実については、4月から障害者差別解消法が施行されますが、「第2次湖南市障がい者計画」と「第4期湖南市障がい福祉計画」の2年目として、適切に障がい福祉サービスを提供することにより、地域生活移行や一般就労に向けた取り組みを進めてまいります。

高齢者の自立支援の充実については、「第6期湖南市高齢者福祉計画・介護保険事業計画」の2年目として、新しい介護予防・日常生活支援総合事業の平成29年度スタートに向けた準備を進めてまいります。

こうしたさまざまな福祉を支える地域の力を最大限に活かすために、今年度で最終年度を迎えます「第2次湖南市地域福祉計画」の改定に取り組みます。

危機管理体制の整備については、災害対策本部等の耐震化も含めた東庁舎周辺整備基本計画を策定し、さまざまな機能の複合化を検討してまいります。また、引き続き、石部小学校への防災倉庫整備や防災士の育成などをすすめるとともに、総合防災訓練等を実施するなど地域防災の確立に努めてまいります。

(誇りとなる市民文化を創造するまちづくり)

次に「いきいきとした暮らしをつくろう」ということです。平成27年度から総合教育会議が発足し、教育方針については市長と教育委員会で協議をしながら作成をしております。そのため、教育行政についてはこの後、教育長から教育方針演説がありますのでそちらに譲りますが、石部小学校につきましては校舎棟の完成を受けて教室などの移転を行い、引き続きグラウンド等の整備を行ってまいります。また、耐震化工事としては市内で最後となります甲西中学校について改築事業に着手してまいります。さらには改築工事と同時施工となる甲西中学校以外の中学校についての空調機整備を行ってまいります。

(効率的・効果的な行財政システムづくり)

最後に、「明日を拓くしくみをつくろう」ということです。「第三次湖南市行政改革大綱」に基づき、PDCAをしっかりとサイクルさせながら持続可能な財政構造の構築をめざします。とりわけ最重点項目とされている「湖南市公共施設等総合管理計画」の着実な推進を図ってまいります。さらには、「湖南市きらめき・ときめき・元気創生総合戦略」による諸施策を機動的に進めてまいります。

(真の自立した社会の実現に向けて)

 フランスの政治哲学者であるジャン=ジャック・ルソーは次のように述べています。

「ひとたび、公共の職務が、市民たちの主要な仕事たることを止めるやいなや、また、市民たちが自分の身体でよりも、自分の財布で奉仕するほうを好むにいたるやいなや、国家はすでに滅亡の一歩前にある。戦闘に進み出なければならないというのか?彼らは軍隊に金を払って、自分は家にのこる。会議に行かねばならないというのか?彼らは代議士を指名して、自分は家に残る。怠惰と金銭のせいで、彼らはついに祖国をドレイ状態に陥し入れるために軍隊をもち、また、祖国を売りわたすために代議士をもつにいたるのだ。

 商業や工芸に大騒ぎしたり、むやみに利益をほしがったり、軟弱で安楽を好んだりすることが、身をうごかしてはたすべき職務を、金銭で代用させるのだ。ひとは思いのままに利得を増すために、その一部を譲りわたす。〔職務に〕金を出すと、まもなく諸君は鎖につながれることになるだろう。『財政』というこの言葉は、ドレイの言葉であって、都市国家の知らないものである。真に自由な国では、市民は自分の手ですべてを行い、金銭ずくでは何もしない。自分の義務をまぬがれるために金を払うどころか、金を払ってでも自分の義務を自分で果そうとするであろう。」と。

 有名な『社会契約論』からの一節ですが、人民主権論であり極論を述べているところもありながら、極論であるだけに真理を衝いている側面もあります。まずは、市民の目から見れば、私たちのように市民を代議している者にとっては、全体の意思を代理しているということを常に自覚し続けなければならないことになります。

しかも、健全な自治・民主政治を実現するためには、何でもかんでも行政に請け負わせるという社会を大きく転換し、市民が自分たちの主要な仕事である公共の職務をそれぞれ自分たちで担う気概が必要であるということです。財政に縛られて何もできなくなるという指摘は至極名言でありまして、自己利益を最大にするために市民が過度に行政に依存するあまり、逆に財政に縛られて自立・自己決定をすることができなくなるということを示しています。

 世界情勢や国際経済が混沌とし、国の政策が地域を主体とする取り組みに転換されていくなかで、地域に今求められているのは、真の自立ということではないかと考えます。自分たちの地域のことは自分たちで決定し、実施するというように自立・自助意識を高め、市民が協働し、地域が主役となるまちづくりを進めなければなりません。

新しい年度には、第二次総合計画、とりわけ総合戦略を効果的にスタートさせ、市民が総参加し、自然体での共生社会の実現に向けて未来を創造するさりげない支えあいのまち、きらめき湖南市を目指して、議員各位をはじめ市民のみなさんとともにまちづくりを進めてまいる所存でございますので、引き続きご理解とご協力を心からお願い申し上げまして、平成28年度の施政方針といたします。

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