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 ■市長室

施政方針・所信表明

平成26年度施政方針

平成26年2月27日

(はじめに)

本日ここに、平成26年度の湖南市の予算および諸議案をご審議いただくにあたり、議長のお許しを得まして、私の市政に対する運営方針の一端を申し述べ、議員各位ならびに市民のみなさんのご理解とご協力を賜りたいと存じます。

(世界経済の潮流)

 世界経済は、全体として弱い回復が続くなかで、アメリカの雇用改善やイギリスの個人消費の伸びなど一部先進国では底堅さが見えているとされておりますが、アメリカの金融政策の行方やヨーロッパの政府債務問題、投資依存の強い中国経済がいわゆる「中所得国の罠」に陥らないかなど、さまざまなリスクも抱えております。わが国においてもいわゆる「アベノミクス」といわれる政策が進められておりますが、各国経済は強い影響関係にあることから、こうした世界経済の潮流との関連性を慎重に見極める必要があります。

(台頭する覇権主義)

 一方、結びつく国際経済とは異なり、軍事力を背景とした国際パワーゲームは、平成22年に名目GDPでわが国を抜いて世界第2位の経済大国となった中国が、国内の権力闘争などにより対外的な冒険主義に進まざるを得ない状況から、東アジアの不安定化の要因となっております。これに対して、わが国は、日米同盟関係を強化するとともに、地球を俯瞰する視点でのトップ外交を進め、ASEAN、オーストラリア、インド、中東、ロシアなどとの結びつきを強めることで、中国包囲の姿勢を見せております。平成27年末に戦時作戦統制権がアメリカから返還される韓国や張成沢処刑による北朝鮮の自立が中国の外交内政にどのような影響を与えるかが注目されます。

(安倍内閣の方針)

 平成24年末に成立した第2次安倍内閣は、経済再生、震災復興、外交・安全保障の3つの危機突破を掲げ、この1年間で成長戦略によるデフレ脱却や積極的平和主義を標榜した外交政策、社会保障改革と財政再建などを進めてきました。昨年7月の参議院議員選挙の結果、約3年間国政選挙がない政治的安定期間を迎えたことから、安倍内閣の政策方針が一定程度進むことが見込まれます。2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催決定や原子力発電所の再稼働方針、国家安全保障会議の設置や秘密保護法の成立、環太平洋経済連携協定交渉と日米並行協議、米軍普天間飛行場の運用停止問題など、さまざまな課題に対してスピード感を持った対応が進むことが予想されます。

(社会保障と税の一体改革)

 とりわけ、地方自治との関係で注視しなければならない社会保障と税の一体改革では、幼児教育・保育と地域の子ども・子育て支援の総合的推進など「子ども・子育て支援の充実」をはじめ、病床の機能分化・連携、在宅医療の推進等と地域包括ケアシステムの構築を柱とした「医療・介護サービスの提供体制改革」、医療保険制度の財政基盤の安定化や介護給付の重点化・効率化などによる「医療・介護保険制度の改革」、そして低所得高齢者・障がい者等への福祉的給付の創設などの「現行年金制度の改善」などが予定されておりますが、これらの安定的財源の確保のため、今年4月からの消費税率3%引き上げが決まっており、政府は「好循環実現のための経済対策」を閣議決定したものの、回復基調にある国内経済への影響が心配されます。

(共生社会政策)

 わが国は平成24年に年間3万人の水準は割り込んだものの、毎月2千人以上が自らの命を絶つ自殺大国でありますが、東日本大震災に関連する自殺者も累計で110人を超えております。東北日本の復興は遅々として進まず、また、福島第一原子力発電所事故の対応も十分であるとはいえません。いまだに日本国憲法が満足に施行されていない地域が、福島県浜通り地方という日本国内に存在する冷厳な事実から目を逸らすわけにはまいりません。誰もがお互いに支え合って生きることのできる共生社会の実現が求められております。とりわけ、いじめ防止が重要とされるなか、糸賀一雄生誕100年の今年こそ、インクルーシブ教育を推進し、子どもたちの発達権の保障を確かならしめなければならないところですが、国政においては教育委員会制度を十分に運用できなかった自治体の主張を取り入れた制度見直しが行われようとしており、その方向性には引き続き注視が必要です。

(県政のプレゼンス低下)

 この10年を振り返り顕著であることのひとつは、県政のプレゼンス(存在感)の低下であります。平成12年に施行されたいわゆる地方分権一括法以前は、機関委任事務制度を通じて国政の伝達者としての県政の重みは現在と比較になりませんでした。しかし、数次にわたる分権改革の結果、基礎自治体である市政の重要性が高まり、相対的に県政のプレゼンスは低下してきました。この間、住民生活に直接関与することの少ない県政が自治を担う場面が縮小していることを十分に理解したうえで自治体間関係や広域自治行政が模索されてきたかといえば疑問符が付きます。その顕著な事例が、いわゆる流域治水推進条例を巡る知事と県議会の綱引きでありました。今年7月には知事選挙と湖南市においては県議会議員の補欠選挙が行われますが、知事や長らく1名が空席のままの県議会議員の意義や役割を市民のみなさんとともに考える時期に来ているものと認識しております。

(市制10周年を迎えて)

 湖南市においては、今年10月1日に市制施行10周年を迎えます。この間のまちづくりの推進には、市民のみなさんのご理解とご協力をいただいてまいりましたことに、改めて感謝を申し上げます。10年前には市内の道路は慢性的な渋滞に覆われており、学校現場も落ち着きを見せず、財政的にも危機的な状況を迎えておりました。それが、新市建設計画、総合計画に基づき、道路整備、橋梁整備、都市整備、上下水道整備、耐震整備、地域まちづくり、市民活動、障がい福祉、高齢福祉、子育て支援、学校地域支援、地域包括医療ケア、地域交通、生活衛生、生涯学習、多文化共生、地域エネルギー、環境自治など、多くのまちづくりに関する前進が見られたことは、市民のみなさんのご尽力のおかげであります。市制10周年をひとつの契機とし、さらに市民のみなさんとともに住みやすいまちづくりを進めていく覚悟を新たにしたところであります。

(少子高齢時代を控えた行政システムの改革)

 湖南市の人口構成は、今後大きく変化してまいります。これまで力強くまちの発展を支えてきた年代が後期高齢に差し掛かり、生産年齢人口が減少するなかで、コストのできるだけかからないコンパクトシティを志向しながら、お互いの支えあいができるまちづくりを進めていかなければなりません。そのために、地域の自主的なまちづくり活動を活性化するとともに、行政システムのスリム化を図りながら利便性の向上を求め、次の世代への負担のつけ回しを避ける努力が求められます。

(未来への投資は、市民がきらめく暮らしのために)

 こうした現状と課題を踏まえたうえで、平成26年度当初予算の編成に当たっては、「未来への投資は、市民がきらめく暮らしのために 〜市制の節目を迎え、新たなステージへ〜」を基本テーマに、過去の諸施策の成果を踏まえながらも、地域の魅力の発見や新たな課題の抽出を行い、地域の元気を生み出し、市民の安全と暮らしを支え、ともにまちづくりを高めるための政策展開を準備してまいりました。大型投資や大型の福祉対策などにより平成25年度と比較して総額で3.9%増加した過去最大の予算規模となりましたが、総合計画のまちづくりの6つの目標に沿って、平成26年度施政の方針を説明いたします。

(人権尊重と自立・自助のまちづくり)

 まずは、「みんなで共に進めるしくみをつくろう」ということです。市民主体のまちづくりの推進に関しましては、平成25年12月定例会から継続審議いただいている湖南市まちづくり協議会条例案の議会における議論を伺いつつ、おおむね小学校区単位で立ち上がっておりますまちづくり協議会に対する財政的な支援としての地域活性化推進事業をはじめ、現在造成工事を進めております新菩提寺まちづくりセンターの建物整備に取り組み、10数年来の懸案であった菩提寺地域のまちづくり拠点を整備してまいります。また、すべての人の人権が尊重されるまちづくりを進めるために、夏見会館の改築準備に着手いたしますとともに、外国籍児童生徒に対する国際文化教育や外国籍市民の生活相談など多文化共生の社会づくりを進めてまいります。さらには、湖南市誕生から10年を経て、老朽化した市役所の情報システムについて、市民サービスの向上につなげるため、新たに基幹系システムの更新に取り組んでまいります。

(自然を活かし、自然と共生するまちづくり)

次に、「うるおいのあるまちをつくろう」ということです。環境の保全に関しましては、引き続き天然記念物ウツクシマツ自生地の保全や森林病害虫の防除などにより、生物多様性を維持していくとともに、野洲川などの水質保全のために水質分析を行い、引き続き公共下水道の整備地域における接続の推進を図ってまいります。また、循環型社会をかたちづくるために、引き続き分別収集を基本とするごみ処理を行うほか、福島第一原子力発電所事故後の自然エネルギーの地域循環の取り組みを進め、市民共同発電所や電力の見える化、スマートコミュニティ、バイオマス、小水力発電など、さまざまな先進的施策の展開に果敢に挑戦してまいります。さらに、平成25年台風18号災害の際に流域下水道がオーバーフローする状況に直面したことで、過去、湖南市が主張してきたいわゆる「不明水」対策に滋賀県ならびに流域市町が注目していることから、この機会に流域下水道についての協働作業を前進させるとともに、公共下水道施設の老朽化対策や最終段階に差し掛かった面的整備を進め、公共下水道事業について、平成28年度からの地方公営企業法の適用につなげてまいります。上水道施設についても、配水池の再編や老朽管の更新を進めながら安全安定な水道水の供給に努めてまいります。

(産業が集まり、人が集うまちづくり)

三点目は「活気あるまちをつくろう」ということです。まずは、市街地・住環境の整備については、「湖南市都市計画マスタープラン」に基づいた魅力ある土地利用を誘導するとともに、「湖南市市営住宅整備計画」に基づき、公営住宅の整備を進めていきます。また、湖南市景観条例に基づき「湖南市景観基本計画」を策定いたしますとともに、笹ヶ谷地先において進んでいる火葬場施設の建設を行ってまいります。次に、道路網の整備については、国道1号バイパスの延伸について国土交通省滋賀国道事務所と密接に連携を保つほか、「湖南市道路整備計画」に基づき、(仮称)市道吉永山手線道路新設事業を進めるとともに、市道三雲小学校線歩道新設や市道甲西駅美松線道路新設、市道東浦線歩道整備、JR平松踏切拡幅、そして、市道菩提寺中央線冠水対策などの諸事業に取り組んでまいります。公共交通の充実については、引き続きコミュニティバスめぐるくんの運行を適切に行うほか、JR草津線甲西駅のバリアフリー化を行います。また、三雲駅の橋上化に向けた設計などを進めるとともに、石部駅のバリアフリー化に向けた周辺整備の検討も進めてまいります。農林業の振興については、環太平洋経済連携協定交渉と日米並行協議が進むなかで、国の進める6次産業化も視野に入れながら、市内産農産物の発信販売なども担う農業振興等拠点施設の整備検討に取り組んでまいります。また、引き続き甲西南部地区ほ場整備事業の事業完了に向けての諸事業を進めてまいります。商工業の振興や雇用促進などについては、引き続き(仮称)内陸型国際総合物流ターミナルの整備について研究を進めるとともに、岩根地先に進出が予定されている大型商業ゾーンに備えてまいります。これまで先進的に取り組んできた障がい者の就労支援に加え、平成26年度は新たにシルバー世代の就業促進にも取り組んでまいります。また、観光振興につきましても、引き続き湖南市三大まつりや湖南三山をはじめとする観光資源の活用について、まちづくり協議会などとも協働しつつ、地域の力を引き出してまいります。

(生涯を通じた安心と健康のまちづくり)

四点目は「ほっとする暮らしをつくろう」ということです。一昨年から人と人との絆を紡ぐ「心のインフラづくり」に取り組んでまいりましたが、まず、健康づくりや医療の推進に関しましては、各種成人検診やがん検診、さらには予防接種などによる予防医療を推進いたしますとともに、平成26年度は新たに県内で初めて産婦健診を導入してまいります。また、国民健康保険税については、医療費の安定などを受けて税率の引き下げを予定いたしております。子育て支援については、平成27年度に子ども・子育て支援新制度の本格施行を控えまして、「湖南市子ども・子育て支援事業計画」を策定いたしますとともに、民間事業者等と連携をしながら、必要とされる保育サービスの量と質の確保に努めてまいります。また、ファミリー・サポート・センターやつどいの広場、子育て支援センターなどで発達段階に応じた子育て支援を充実するとともに、ひとり親等子育て応援手当の支給や母子家庭高等技能訓練の促進などひとり親等家庭などの支援も行ってまいります。平成26年は糸賀一雄生誕100年を3月29日に迎えますが、平成26年度は「湖南市障がい者計画」と「湖南市障がい福祉計画」の改定を行い、アール・ブリュットの普及や障がい者グループホームの整備支援、成年後見センターの運営による権利擁護など障がい者の自立に向けた幅広い支援を展開してまいることとしております。高齢者の自立支援につきましては、平成25年度から改定作業を進めている「湖南市高齢者福祉計画・介護保険事業計画」の見直しを行い、これまで整備が進んできている施設サービスに加え、在宅ケアを充実させるとともに、いきいき100歳体操のさらなる普及による介護予防の強化や認知症地域支援推進員の設置による認知症対策総合支援を進めてまいります。また、昨年12月に成立した生活保護法改正と生活困窮者自立支援法に基づき、平成27年度からの新たな生活困窮者の自立支援制度に向けた準備を行ってまいります。昨年度は台風18号災害による被害がありましたが、平成26年度は、災害時に第1次避難所となる地区連絡所の無線機などの防災備品や防災マップの整備、第2次避難所となる各小学校への防災備蓄倉庫整備、3か年目となります防災士の育成、さらには甲西駅前への防犯カメラ設置などにより安心安全を確保してまいります。

(誇りとなる市民文化を創造するまちづくり)

五点目は「いきいきとした暮らしをつくろう」ということです。教育内容の詳細については教育長による「教育方針」に譲りますが、平成26年度はかねてから懸案となってきた石部小学校の耐震改築に本格的に取り組むほか、甲西中学校改築に向けた基本設計と実施設計を行ってまいります。また、引き続き水戸小学校の大規模改造と学校給食センターの移転新築を進めていきます。湖南市の教育の特徴でもある地域と学校が連携しながら子どもたちをあたたかく包み込む教育を推進するとともに、学校現場をしっかりと支えるために教育委員会の主体的な活動が確保できるように最大限の支援を行ってまいります。とりわけ、学校教育現場の魅力づくりにより、高い意識を持つ教員の確保に意を用いることで、未来の社会を支える次の世代の育成に努めてまいります。具体的には、学校支援地域本部のさらなる中学校現場での拡大、コミュニティスクールの小学校現場での拡大、社会福祉士を含めた他職種連携による児童生徒生活指導の充実、次の時代を担う教員の資質向上のため湖南市独自の研修育成などを行っていく予定としております。

(効率的・効果的な行財政システムづくり)

さいごに、「明日を拓くしくみをつくろう」ということです。平成26年度は、平成の大合併により湖南市が誕生してちょうど10年を迎えますが、今後、平成27年度以降の5年間をかけて地方交付税が段階的に削減されていきます。こうしたなか、行政改革は待ったなしではありますが、単にコストを削減をするというだけではなく、行政サービスの向上を目指しながらの改革を進めることとしており、平成27年2月からのコンビニエンスストアでの諸証明の発行や平成27年度からのまちづくりセンターの指定管理委託に向けた諸準備を進めてまいります。また、企業会計の手法を取り入れた財務書類の作成と分析ツールを導入し、施設の利用状況やコストなどを盛り込んだ施設白書を取りまとめ、公共施設の維持管理計画につなげてまいりたいと考えております。さらに、市制10周年の節目を迎えて各種記念事業を予定するほか、引き続き地域おこし協力隊による地域活性化を展開してまいります。

(さりげない支えあいのまちづくりを目指して)

 江戸幕府で「知恵伊豆」と称された老中松平信綱は「天下の仕置は重箱をすりこ木にて洗ふ様なるが善し。すりこ木にては隅々までは洗へず。隅々まで能く為さんと思へば悪し」と言い残しました。これからは地域での支えあいが大切な時代になってまいります。そうしたときに、重箱の隅を爪楊枝で突きすぎて向こうに抜けてしまうよりも、大きなすりこぎ、すなわち大所高所から寛恕の心でそれぞれが接しあっていく必要があります。市制10周年を迎え、高齢化率20%が確実な年度でもある平成26年度は、これまでのように、誰かがやってくれるということではなく、少しでもいいからお互いに手を差しのべあって、支えあいのできるまちづくりが一歩でも進むことを期待しております。

 湖南市糸賀一雄生誕100年記念事業実行委員会が今年の2月20日に出版した『発達支援をつなぐ地域の仕組み―糸賀一雄の遺志を継ぐ滋賀県湖南市の実践−』は、障がいのある人が地域でいきいきと生活できるための自立支援に関する湖南市条例第3条第4項の規定に基づき、湖南市の先進的な取り組みである発達支援システムを全国の自治体に届けるため、その分析と解説を広範に行いました。平成18年の発達障害者支援法により全国の自治体に義務付けられた発達支援システムがうまく運営できないという相談が湖南市に集まるなか、システムを動かすためには、実はシステムを支えるのが人であるという何でもない事実に気がつくことができるかどうかにかかっているということが、この本により明らかになりました。わが国が長らく忘れてきた職分を守る、本分を守るという何気ない責任感が少しずつ重なりあった自然の所作の結果、総体として支えあうわが国らしい巨大な芸術的システムである発達支援システムは、これまでのように、過度に特定の誰かに責任を負わせて自分が楽をするのではなく、一緒に取り組んで解決に知恵を出し、汗をかくシステムでもあるということであります。

自然体での共生社会の実現に向けて未来を創造するまち、きらめき湖南市を目指して、議員各位をはじめ市民のみなさんとともにまちづくりを進めてまいる所存でございますので、引き続きご理解とご協力を心からお願い申し上げまして、平成26年度の施政方針といたします。

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