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 ■市長室

施政方針・所信表明

所信表明

平成24年11月30日

 

(はじめに)

平成24年10月14日に執行されました湖南市長選挙において、市民のみなさんの厳粛な信託を受けまして、3期目となります湖南市長職をお預かりすることとなりました。議長のお許しを得て、議員のみなさん、市民のみなさんに所信の一端を明らかにいたします。

 

選挙期間中を通じまして、数多くの市民のみなさんから、励ましの声に加えて、本当に切実な地域の活性化に向けた長期のビジョンを求める生の声をお聞かせいただきました。

 

これまでの基礎基盤づくりを継続して、まちの発展につなげてほしいという市民のみなさんの思いを背景に、新しい自治のモデルを創造していくことのできるよう、市民のみなさんとともに精進してまいる所存であります。

 

(時代認識−戦後パラダイムの終焉)

 時代は混とんとしています。

明確な指針が示されているわけではありません。

今、大きな時代の画期に差し掛かっているともいえます。

そして、自治体運営には、海図なき航海などという言い旧された言葉で表現できない難しさを突き付けられています。

 

人口が長期的に減少傾向にある日本で、これまでの高度成長やバブル経済のような目覚ましい経済成長は、今後望むべくもありません。あわせて急速な高齢化や医療の高度化により、社会保障経費は増大する一方です。失われた20年、数多くの政権が経済成長を目指してさまざまな政策を打ってきましたが、いずれも基調を回復することができず、日々の生活費を将来世代からの借り入れでやり繰りするという国富の食い潰しでしのぎ続けてきました。

 

 今のわが国の政治行政システムは、一億総中流といわれた世界に誇りうる“戦後”社会をみごとに作り上げましたが、団塊の世代が後期高齢者に大量に仲間入りするのを目前に、機能不全に陥りつつあります。現役世代や将来世代が高齢世代に一体感、信頼感、公平感を共有できない世代間の意識の大きなずれは、現行の社会保障制度を支える経済財政制度の持続可能性をも脅かしています。

 

 また、東日本大震災という未曽有の大災害は、NPOの役割が注目された17年前の阪神淡路大震災に続く2番目のインパクトとして、国民に防災の限界と原子力エネルギーの危険を認知させました。昨年、東日本で起きたことについては、私たち国民が等しく深く心に刻み、思い続け寄り添い続けなければならない、決して逃げてはならない、風化させることのできない厳しい現実でありました。

 

 湖南市が支援している福島県富岡町の現状は、区域なく住民なく事務所のない、まさに住民自治と団体自治という憲法学の常識を覆し、「自治とは何か」を私たちの胸に鋭く問いかけましたし、情報が過度に統制され透明性の失われたなかで国民の安全や民主政治の健全性をどうすれば確保できるのかという重い課題が突き付けられました。

 

 しかし、こうした危機意識は国民の間で十分に共有されず、変わらない日常のなかで刹那的なお任せ民主主義、劇場型政治が繰り返されることで、未来世代の命に責任を持った選択につながらない隔靴掻痒を感じているのは、私だけではないはずであります。

 

 これまでは、財政硬直に陥った滋賀県からの支援が失われつつあることに注目してまいりましたが、今後は国からの支援も難しくなることが予想されることから、湖南市としても、地域が自立する新しい自治の姿を市民のみなさんとともに真剣に探っていかなければならない、難しい時代に差し掛かっていると言えます。

 

地方ができないことを国が補完をするというヨーロッパ地方自治憲章の考え方に加え、国ができないことを地方が補完して、多様な地域づくりを先行することで国に新たな政治行政モデルを示すという、相互補完のくにづくりが求められているとも言えます。

 

(これからの4年間−未来創造都市の建設)

そこで、これからの湖南市の4年間は、地方自治の進化を促進するだけでなく、あらゆる政策を先駆的に展開することで、変化する事態に対処できるように準備をするとともに、市民が主体的に地域のまちづくりに参加し、未来の主人公である今の子どもたちに顔向けでき誇りの持てる地域を自らの手で創り上げることのできる、きらめいたまちづくりを進めてまいらなければなりません。これまでの基礎基盤づくりのうえに、これまでの路線を継続しつつ、さらなる新しいことへ挑戦する飛躍の4年間であると認識しておりまして、地域経済の活性化と、支え合い助け合いと、次の世代も含めた負担を念頭に置いた「未来創造都市」づくりに、次のような方向性を持って取り組んでまいりたいと思います。

 

 まずは、地域に元気と活力を取り戻すことが大切でありますことから、国道1号バイパスの延伸をはじめとする道路橋梁や交通基盤の整備による人の流れ、物の流れ、情報の流れを活発にし、経済の活性化を図ってまいりたいと考えております。市の東部に大規模商業ゾーンを整備するとともに、西部に内陸型国際総合物流ターミナルを整備する研究を進め、市域の均衡ある経済発展をめざしてまいります。こうしたプロジェクトを市民のみなさんや企業のみなさん、国や関係機関と一緒に取り組むことで、雇用の確保にもつなげてまいります。

 

 その一方で、新しい経済エネルギー政策のモデル的取り組みとして、地域で生まれた自然エネルギーは地域固有の資源に位置づけ、市民共同発電所と地域商品券による経済の地域内循環を創り出すとともに、障がい者の自立支援や地域特産品の開発につなげる緑の分権改革について、さらに促進することで中小企業や商店街の振興にも展開できるように市民のみなさんとともに進めてまいります。

 

 また、障がい者をはじめ働きたい人たちが福祉的施策から自立できるように国や企業などと連携しながら労働環境の改善につとめ、経済活動を支える人たちが安心して働くことのできるまちづくりを進めてまいらなければなりませんし、湖南市の知名度を全国に高めることで新たな魅力を生み出し、観光をはじめとした地域の活性化とアイデンティティの構築につなげ、人が移り住みたいまちに育ててまいります。

 

 さらに、糸賀一雄生誕100年をひとつの節目とし、障がい者だけにとどまらず、急速に進む高齢社会を見据え、医療・保健・福祉・介護の切れ目ない社会福祉を持続的に提供するために市民のみなさんと議論を重ね、地域においてもさりげない支え合いのできる暖かなまちづくりにつながる「心のインフラづくり」についての研究を進めてまいります。人の心は常に痛がりであるために生きることがつらく感じられることから、心が支え合うことのできるインフラを構築し、人と人とのつながり、地域の絆に高めてまいりたいと考えており、市民のみなさんと手探りで取り組んでまいります。

 

 その地域の絆は、次の世代の子どもたちに確実に引き継いでいけるものとならなければなりません。地域の絆が横の軸であるとすれば、子どもたちにつなぐのは縦の軸となるべき世代間の絆となります。子育てや教育環境を整えながら、伝統に誇りを持ち、世代を超えた一体感を持って生きる力を地域のみなさんとともに育んでまいります。

 

 そして、これからの自治は決してお任せ自治でもなく、行政だけが担うものでもありません。自助、共助、公助のバランスがよい自治でなければなりませんし、新しい公共である地域や企業の力を最大限に引き出していかなければなりません。そのことは、防災対策や経済政策、地域の支え合いに至るさまざまな私たちの身の回りにあるものすべてにいえることです。そのためには、ウソのない真面目で真剣な議論ができる湖南市の実現をめざしてまいります。

 

(真剣な議論−誰のためのまちづくりか)

次の世代である子どもたちは、今、政治や行政に参加することができません。しかし、確実にこの社会を未来に受け取らなければならないのです。今、政治や行政を預かっている私たちがどのようなまちを子どもたちに残すかを真剣に議論しなければならない責務を負っています。大人が子どもの手本になっているかを常に自問する必要があります。

 

 湖南市の財政状況は、合併特例により何とかやり繰りをしてまいりましたが、歳入総額は減少傾向にあるだけでなく、特例期間が終わると普通交付税額も段階的に減収となります。合併関連事業がまだまだ残っている状況ではありますが、いわゆる団塊世代の急速な高齢化は市税収入の減少を招く一方で社会保障費を押し上げる要因となります。また、過去の公共投資に対する維持管理だけでも厳しい時代を迎えることは見えてきております。パフォーマンスや神風頼みでは乗り切ることはできないのです。

 

 時計の針は元には戻りません。しかし、自らの手で進めることは出来ます。行政主導ではない地域の活性化による増収を図るにはどうすればよいのか、社会的に弱い立場のかたの自立をどのように支え合いの社会で確立していくのか、さらには無駄な歳出の削減にもっと知恵を絞り汗をかかなければならないのではないか、新しい市民参加による行政運営とはどういうものか、真剣な議論が求められます。私たちを取り巻く環境が激しく変化しているなかで、私たちだけが変わらずに生き残ることはできないのではないでしょうか。

 

 そうした意味で、私たちが次の世代の子どもたちに誇りある郷土を引き継ごうとするのであれば、湖南市は湖南市としてできることに、誤解を恐れずに言えば、失敗を恐れず貪欲にチャレンジし続け、生き残りのための環境適応をしていかなければなりません。今を維持しようとする力と変えようとする力の矛盾するふたつの性質をバランスよく使い分けながら真っ直ぐ進んでいくしかないのです。この湖南市を市民のみなさんとともに未来を自ら創り上げる都市にしてまいりたいと考えております。

 

(継続する思い−責任ある民主市政の確立を)

 最後に、4年前の所信表明の結びを繰り返して、演説を終わります。この思いは今も変わっておらず、その思いをこのたびも市民のみなさんにお認めいただいたと思うからであります。

 

これからの湖南市は、世界永遠の平和を念願する日本国憲法の理想を心とし、民主主義に基づく文化国家建設の目的に向かって、市民憲章の各項に表されたまちづくりをさらに進めていかなければなりません。

 

民主市政には市民の総参加が求められます。しかもそれは責任を伴った参加です。発言を通じて参加する者は、発言内容にしっかりと責任を持つことは当然ですが、その結果に対しても責任を負わなければなりません。公共をどのように支えていくかは、今や市民一人ひとりの肩に掛かっていると申せます。自分の利益だけをめざし要望と要求をするだけではなく、広い視野のもと市民全体の利益をめざす提案型の市民の市政参加を期待いたします。さりげなく支え合い、助け合える凛としたまちとしていきたいと思います。

 

先の市長選挙に示された民意をしっかりと受け止め、市民のみなさんと一緒になった新しい湖南市づくりを、極めて厳しい社会経済財政環境のなかではありますが、明るく強く正しい心を持って進めてまいるための決意の一端を申し述べ、所信とさせていただきます。

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