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 ■市長室

施政方針・所信表明

平成24年度施政方針

平成24年2月29日

 

(はじめに)

本日ここに、平成24年度の湖南市の予算および諸議案をご審議いただくにあたり、議長のお許しを得まして、私の市政に対する運営方針の一端を申し述べ、議員各位ならびに市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

 

(3・11の衝撃)

わが国の近現代史を省みれば、閉塞感にさいなまれた幕末に欧米列強から開国を迫られ、アジア各地域が植民地化されていくなかで危機感を共有しながら明治のご一新を断行し、近代国家へと胎動いたしました。その後、富国強兵が国民の合言葉となり、経済の近代化とともに軍事力を右肩上がりに増強させることで、清国やロシアを破り、世界の五大国のひとつに数えられるまでになりました。しかし、驕れるものは久しからず、科学的合理的思考を逸脱して空気主義に絡めとられるまま清水の舞台から飛び降りる思いで戦端を開き、そしてアメリカに敗れました。

 

過ぐる大戦では多くの有為の青年の命が失われましたが、わが国は大きなパラダイム転換により、一面の廃墟の中から見事に復興を成し遂げ、戦後は経済成長を新たな国民の合言葉にして国力を増やしてきました。米ソ冷戦構造のもとで、アメリカの同盟国として資本主義経済、自由主義体制における繁栄をほしいままにしてきたわが国は、ジャパン・アズ・ナンバーワンとまでいわれるほどになりました。しかし、昭和の終わりとともに冷戦の終結とバブル経済の崩壊を受け、欧米のキャッチアップモデルが通用しなくなるなかで、問題先送り体質を改善することなくいわゆる「失われた20年」を過ごしてきました。

 

そうしたなか発生したのが、東日本大震災でした。昨年3月11日にわが国を襲った大震災・大津波と福島第一原子力発電所事故は、第二の敗戦ともいえるような大きな衝撃をわが国の社会経済に与えました。1万9千人を超える死者・行方不明者の一人ひとりに生きてきた人生があり、社会での役割があったはずですが、国民の6300人に1人が一瞬に命を奪われた重みは、昭和31年に経済白書が唱えた「もはや戦後ではない」というフレーズを再び私たちに突きつけました。いまだに復興の槌音すら聞こえない地域が太平洋に面して広く存在していることは、わが国の機能不全を象徴しています。

 

 これまでのような、漫然とした成長モデルはもはや通用しません。右上がりの経済が生み出す新たな果実を、限られたサークル同士が奪い合いをする既得権優先の社会は、持続可能性を持たないことが改めて認識されたところであります。

 

 また、中央集権的にエネルギー政策や経済政策が統制されるモデルは、アラブの春と呼ばれた昨年の相次ぐ中東地域での政権転覆で石油エネルギーの確保が不安定化するとともに、中国海洋権益の拡大によるシーレーンの脆弱化、さらに止めとしての福島第一原子力発電所事故に伴う莫大な補償算定により、根底から覆りました。あわせて、国際金融資本が一極集中するなかで円高やデフレ経済のマイナス影響の克服がなされないまま、震災被災者一人ひとりの生活の復旧に十分に手を尽くす前に、再びTPPという国際経済の荒波に向かおうとしています。

 

 今後、全体として減少しながら高齢化が進行する人口で持続可能なセーフティネットをどのように構築するのか、さらなる経済成長をどのように進め、食糧安全保障をどのように担保するのか、国政における国民的議論が決定的に不足しています。

 震災後のわが国に、すばらしい秩序と互助の精神のあったことが、全世界から賞賛されました。これからは、地域における限りある資源を有効に循環させることで、賢く持続可能な社会づくりを進めていかなければなりません。成長志向一辺倒からは一旦立ち止まるとともに、過度な公共依存を戒め、地域がみんなで少しずつさりげなく支えあうことが、わが国が再び世界から尊敬を集める地位につく近道であると信じます。

 

(国政、県政の状況)

 こうした大きな時代の転換期にあたり、政府は、震災からの復旧・復興を最優先し、景気の下振れ回避に全力を挙げてきました。平成24年度を「日本再生元年」、また「我が国経済を確かな再生の軌道に乗せていく年」と位置づけ、大震災からの復旧・復興、原発事故との戦い、日本経済の再生の三つを内閣の優先課題としておりますが、一刻も早く財政健全化に取り組み、経済の安定的な成長の基盤を築いていくための「社会保障と税の一体改革」を進めるなかで、社会保障財源化させる消費税の税率を、経済状況の好転を条件に、平成26年4月から8%、平成27年10月には10%へと引き上げる原案を取りまとめました。しかし、いわゆる「ねじれ国会」において、大臣の資質問題などを取り上げて与野党の協議が進まない状況が続いており、“決められない政治”を露呈しています。

 

 県政においては、計画行政や財政負担のあり方を巡り、住民の生活やまちづくりを直接担っている市町と十分な意思疎通がなされないままに県が施策を進めようとし、その都度両者の主張がぶつかることで、さまざまな場面で停滞が起きています。

 

(湖南市の現状と課題)

 湖南市は、平成16年10月に誕生して以降、『新市建設計画』、さらには『総合計画』に基づき、着実にまちづくりを進めてまいりました。市内の一体化を最優先にするとともに、基幹道路網の整備による慢性渋滞の解消やリーマンショック後の緊急生活支援など、時宜を得た施策を展開してきたところです。その間、硬直化した財政の健全化に努め、各種財政指標の改善と安定化のための基金の積み立てを行い、地域まちづくり協議会や学校支援地域本部など市民による自主的な地域づくりの枠組みをつくってまいりました。その結果、障がい福祉や就労支援、観光振興や地域包括的な教育などで、全国的な知名度を高めつつあります。

 

 その一方で、今後、湖南市は、社会全体で受け止め、支えあわなければならない急速な高齢化に直面することになります。若い人が市内に魅力を持てるまちづくりが求められますし、地域の活力を創出していかなければなりません。そのためにも、企業の活動しやすい拠点整備や商業集積を進め、コンパクトな中にもきらりと光るきらめき湖南をつくっていく必要があります。

 

(予算編成の基本方針)

 こうした現状と課題を踏まえたうえで、平成24年度当初予算の編成に当たっては、歳出全体の徹底した洗い直しを行うとともに、総合計画の政策目的達成に向けて、優先度の高いものから計上をすることに努めました。地域の活性化と自給力や持続可能性を引き出すとともに、安心安全と行財政改革を着実に進め、標準財政規模の10%以上の基金を確保するように基本的方向を定めております。そこで、総合計画のまちづくりの6つの目標に沿って、平成24年度施政の方針を説明いたします。

 

(人権尊重と自立・自助のまちづくり)

 まずは、「みんなで共に進めるしくみをつくろう」ということです。東日本大震災を受けて国民が最も強く感じたことは「絆」の大切さです。とりわけ、地域における支え合い、助け合いの再生が求められておりますが、すでに進められている区・自治会における取り組みや広域のまちづくり協議会による活動をさらに活性化していきます。平成23年度に引き続き地域活性化推進事業を展開し、「新しい公共」の基盤を強化するとともに、菩提寺コミュニティセンターなど自治の拠点施設の整備を進めます。

 

また、依然として県内で最も多い外国籍市民比率を擁しておりますことから、多文化共生社会の推進を進めるため、引き続き外国人集住都市会議において一定の役割を果たすほか、『多文化共生社会推進プラン』に基づき、市民に対する啓発や地域社会の伝統やしきたりを大切にするまちづくりを進めてまいります。

 

(自然を活かし、自然と共生するまちづくり)

 次に、「うるおいのあるまちをつくろう」ということです。平成21年に『湖南市環境基本計画』を策定いたしましたが、昨年の東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所事故は、低炭素化を進めるための原子力エネルギーへの依存に大きく警鐘を鳴らしました。一方で自然再生エネルギーの創出などによる分散自律型エネルギー供給体制の構築が求められており、湖南市としても「緑の分権改革」を精力的に進めてまいりたいと考えております。新たな市民出資の枠組みを検討し、エネルギーの域内循環を実現できるような体制構築の準備をしてまいります。

 

 また、循環型社会を形成するために資源ごみの分別収集を進めますが、リサイクルプラザの破砕選別施設の整備や甲賀広域行政組合における焼却炉の長寿命化などを図ってまいりますとともに、市役所庁舎自体の省電力化や市内幹線道路の街路灯のLED化などを進めてまいります。

 

 上水道については、安全な水質による安定的な水量供給を目指すとともに、老朽施設の改築を進めてまいります。また、下水道については、平成27年度の整備計画終了を目指し、着実に施設の整備を進めるほか、ゲリラ豪雨などに備えて都市排水を行えるように雨水排水施設の整備計画を実施していきます。

 

(産業が集まり、人が集うまちづくり)

 三点目は「活気あるまちをつくろう」ということです。市街地・住環境整備については、滋賀県が実施する都市計画見直しにあわせ、岩根地先において新たに都市市街地整備を進めるための準備を行いますとともに、拠点整備も視野に入れた企業誘致の土地利用のあり方を構想してまいります。また、市内に良好な景観を形成していくための基本計画の策定に着手いたしますとともに、住環境整備として、引き続き住居表示実施地区のみどりの村地域への拡大に着手するほか、老朽化した火葬場の施設整備を進めます。

 

市内の道路につきましては、市道甲西駅美松線や(仮称)吉永山手線、市道列結若狭島線、市道野神8号線ならびに甲西南部ほ場整備事業関連ふるさと農道の新設や改良工事を行いますとともに、市道三雲小学校線や市道田代ヶ池線の歩道設置、北山台地区の道路舗装整備など生活道路の質的な向上を図ってまいります。河川整備につきましては、旧茶釜川の護岸整備工事や立石川護岸整備の測量設計などを行います。

 

公共交通の充実については、3駅プランに基づき、三雲駅周辺整備事業に引き続き取り組みますほか、JR甲西駅のバリアフリー化に向けた基本設計を行うとともに、石部駅周辺まちづくり基本計画の策定を進めてまいります。

 

 産業の振興に関しましては、引き続き甲西南部地区ほ場整備事業を進めますとともに、「緑の分権改革」の一環としての地域特産物を掘り起こしていきます。また、商工会や観光物産協会など関係団体の自立化を通じて地域経済の活性化を図りますとともに、これまで春、夏、秋に個別に実施されてきたイベントを「湖南市三大まつり」として有機的に連関させ、観光集客につなげることとしております。

 

 雇用促進と労働者福祉の向上に関しては、「アクションプラン」の一環として、平成24年3月に厚生労働省のハローワークが市役所内に窓口を開設することから、障がい者就労情報センターと連携して、就労支援プログラムの実施による福祉から就労支援を進めてまいります。

 

(生涯を通じた安心と健康のまちづくり)

 四点目は「ほっとする暮らしをつくろう」ということです。

 まずは、市民一人ひとりの健康づくりが大切なことから、『健康こなん21計画・食育推進計画』の中間評価に着手するとともに、各種健診や予防接種・ワクチン接種の実施率の拡大を図ることに加え、特定不妊治療に対する助成を開始いたします。

 

 次に医療については、公立甲賀病院組合を通じて進めております地域中核病院としての公立甲賀病院の移転新築事業が平成24年度内に完成する予定であるほか、公立診療所をはじめ地域医療機関の適切な役割分担と在宅医療との機能連携によって、地域包括・ケアの充実を図ります。

 

 子育て支援については、国において検討が進められている子ども・子育て新システムに関する分析を進めるとともに、こんにちは赤ちゃん事業や子育て支援ヘルプ事業、多胎児家庭育児支援事業などの虐待防止施策を展開するほか、民間保育施設への支援の拡充に加え、平松保育園の改築や石部南学童保育所の改修などのハード整備を行ってまいります。障がい者支援については、「緑の分権改革」を通じて障がいに対する市民の理解をさらに促進するとともに、障がい者の就労に向けた環境整備に加え、障がい者グループホームの整備や手話奉仕員の養成など地域生活の支援体制をさらに充実させていき、自立を促してまいります。高齢者支援については、平成23年度までに一定の施設整備が計画的に終了いたしますことから、新たな『高齢者福祉計画・介護保険事業計画』に基づき、高齢者の皆さんがそれぞれ体力づくりや生きがいづくりに励んでいただいて介護状態になることを防いでまいりたいと考えております。

 

 安全な地域づくりについては、『地域防災計画』の見直しを通じて大規模自然災害時における自助・共助・公助の役割を再構築するとともに、河川洪水時の監視や放射線防護、非常備消防による菩提寺北部地域のカバーや地域での共助を促進する防災士の育成などに取り組んでまいります。

 

(誇りとなる市民文化を創造するまちづくり)

 五点目は「いきいきとした暮らしをつくろう」ということです。

教育内容の詳細については教育長職務代理者による「教育方針」に譲りますが、本市教育の特徴でもあります特別支援教育を展開し、問題を抱えた生徒に対応するためスクールソーシャルワーカーを設置してまいります。また、就学前教育について、国における子ども子育て新システムの議論を注視してまいることは、子育て支援で述べたとおりです。学校施設については、石部小学校の耐震改築に向けて議論を深めるほか、日枝中学校の下水道接続などを進めてまいりますし、食育面では、老朽化する給食センターの改築に着手し、アレルギー食にも対応できるようにしてまいります。社会教育面では、地域に開かれ、地域の「知」の収集・集積・発信のセンターとしての図書館の充実を図りますほか、各まちづくりセンターの活性化などに取り組んでまいります。

 

(効率的・効果的な行財政システムづくり)

さいごに、「明日を拓くしくみをつくろう」ということです。

平成23年度から『総合計画後期計画』および『第二次行政改革大綱』の計画期間が始まっておりますが、総合計画に掲げる諸課題を解決するための財源として、合併特例債の発行時期や今後容易に増加には転じないであろうことが予測される税収の範囲をしっかりと見定め、効率的に公費が使われていない施策や施設などについては、市民の皆さん全体の利益を考えながら、そのあり方を議論してまいりたいと考えております。また、見直しに際しては、公民連携手法を活用しながら、将来に対するツケを残さないように取り組んでまいります。

 

(自治体間外交について)

他の自治体との関係については、滋賀県市長会長の席をお預かりしたことから、県内会員各市の間や近畿市長会、全国市長会との関係、滋賀県や国との調整などを大所から対応していく立場となりました。市役所としてもさらなる緊張と勉強を重ねる必要があります。また、甲賀市と構成する2つの一部事務組合においては、衛生や消防について連携を図るほか、先に述べましたとおり公立甲賀病院の移転新築が年度末に控えておりますことから、地域医療の充実につなげてまいります。栗東市と構成する広域協議会においては、引き続き国道1号バイパスをはじめとした広域交通に関する議論を深めてまいりますし、野洲市および竜王町と構成する広域協議会においては、地域活性化に向けた研究を続けてまいります。そのほかの広域連携についても適切に取り組みますとともに、平成23年度に協定を締結した北海道比布町や鳥取県北栄町との連携を深めるほか、さらに幅広く交流を展開してまいります。

 

(おわりに)

 東日本大震災で確認された「絆」の大切さは、過度に個人主義がもてはやされ、一人ひとりが社会の一員としての役割を果たさなくなりつつある風潮を強く諌めたものであるといえます。国民国家が主導権を握る生き馬の目を抜くような国際社会においては、まだまだ国の果たすべき役割や責任は大きいものの、国内においては地域の自給力の向上とさりげない支え合い、助け合いによる社会のセーフティネットの構築こそが、狭い国土に鈴なりに連なった都市構造に多くの人口と経済が集中して発展を続けてきたわが国の、現在の閉塞感を打ち破る処方箋ではないかと考えております。

 

 湖南市としては、急速に増加する高齢者の力と知恵を活かすための適切な役割分担を探っていかなければなりませんし、持続可能な成長のための開発を進めるとともに、地域自然エネルギーを含め地域で共有する公共財である限られた地域資源の地域内での有効な循環を目指していかなければならないと考えております。これまで課題として認識されながらも先送りされてきた火葬場や給食センター、石部小学校耐震改築などのハード整備に加え、位置も含めた甲西中学校の改築に向けた検討、企業活動が展開されるプラットフォームづくり、生涯を生き生きと暮らすことのできる健康づくり、さらには地域における市民主体のまちづくりの一層の推進など、市民のみなさんの生活の質を向上させることがなにより大切であると考えます。

 

 むすびに、民主主義の発露として、市長選挙と議会議員選挙というふたつの選挙で選ばれた執行部と議会の多元主義的な関係を、議会の率先した改革を受けて執行部改革にしっかりとつなぎ、住民自治がさらに活性化するための団体自治にしてまいりたい所存でございますので、議員各位ならびに市民のみなさんにご理解をいただき、引き続いてのご支援とご協力を心からお願い申し上げまして、平成24年度の施政方針といたします。

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